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2018年5月15日 (火)

ハモンドオルガン B-3 の後継機について

4月4日に浜松の楽器博物館に行ったときのブログに書いたが、ハモンドオルガン B-3 とその後継について、自分でも記憶が定かでない部分があったので、覚書のためにここに整理しておく。なお、画像は拾いもの。できる限りカタログやメーカ公式のものをピックアップしたが、一部個人のものを拝借した。
ハモンド B-3 と言えば、トーンホイール型の代表作で、1950年代から1975年まで生産された。トーンホイール型電気オルガンの製造コストは非常に高く、大きく重く、メンテナンスが大変なので、ハモンドも小型のモデルから次第に電子化されていき、B-3 が最後のトーンホイールオルガンになったのだが、ミュージシャンの多くはその後の電子オルガンの音に満足できず、トーンホイールオルガンを使い続けた。
2018051501 そしてハモンドが B-3 にとって代わるべく、完全に電子化された B-3 スタイルのオルガンとして1976年に発売したのが、B-3000 である。もちろんアナログ発信回路を用いたもので、エレクトーンやビクトロンなどと原理は同じ。ただし操作はドローバーによる正弦波合成方式で、B-3 などと全く同じである。ちょうど私がオルガンに興味を持った、高校、大学時代のものであり、実物の B-3000 は一度だけ音を出してみたことがある(弾いたというレベルではない)。当時は B-3 や C-3 の生の音を聞いたことがなかったので、これでもずいぶん感動したものだが、やはりプロのミュージシャンは納得しなかったようだ。因みにデザインは B-3 によく似ているが、B-3 の4本の足が、ネコの後ろ足のようなしなやかなふくらみを持った形なのに対し、B-3000 は古代ギリシャ建築のエンタシスのような(ただし中央が膨らんではいない)円筒形で、上下に金の環がついている。
2018051502 ハモンドオルガンの製造が、日本の鈴木楽器に移管されてから発売されたのが、初のデジタルサンプリングオルガンとなる、MIDI 対応の Super B である。実はこのハモンドに関しては私も実物を見た記憶がなく、どれくらいの台数が製造されたのかもよくわからない。初のデジタルハモンドと言うと、私が持っている XB-2 だと思われがちだが、それより数年前に、この Super B が発売されていた。しかしこの時まだハモンドとレスリーの商標を鈴木楽器は取得していなかったので、あくまで鈴木楽器が製造してハモンドに OEM 提供したものである。Super B の残念なところは、ドローバーが上下鍵盤1組ずつしかないので、演奏中に使っていない方のドローバーのセッティングを変えておき、プリセットキーを切り替えて、瞬時に音色を変える、といった演奏ができない。Super B の4本の足は断面が4分の1扇形で、オルガン本体の外装に合わせて、曲面が外を向き、内側が直角になっている。
2018051503 1991年に鈴木楽器がハモンドとレスリーの商標を取得し、正式にハモンドスズキというブランドになって、最初に発売されたのが、B-3 のトーンホイールを1枚づつサンプリングして常時発音させる「デジタルトーンホイール方式」の XB-2 である、XB-2 は1段鍵盤のコンボオルガンであるが、この XB-2 を2段鍵盤にして、B-3 的な演奏を可能にしたのが、XB-5 だ。ただし XB-5 は B-3 の後継という位置づけではなく、あくまで2段のコンボオルガンである。しかし専用のスタンドやペダル鍵盤と組み合わせると、B-3 っぽい雰囲気にはなる。
2018051504 XB-5 の発売から数年後、上下二組のドローバーを備え、白黒反転のプリセット鍵盤を持ち、B-3 と同じデザインの、曲線的な足を持ったデジタルトーンホイールオルガンが XB-3 である。ここにきてようやく B-3 を、音質面でも操作性でも代替できるオルガンが発売されたと言えよう。レスリーシミュレータを内蔵した XB-5 に対し、専用のレスリーと組み合わせて使用することを前提とした XB-3 には、レスリーシミュレータは内蔵されていない。つまり XB-3 は、コンボオルガンではないのだ。
2018051505 そしてついに究極の B-3 として2002年に発売されたのが、その名も New B-3 である。デザインはもちろんだが、多列接点の鍵盤が、それぞれのドローバーの音程を「電気的に」鳴らす、というオリジナルの B-3 の構造をそのまま再現している。つまり音源がデジタル化された以外は、ほとんどオルガンの構造が先祖返りしてしまったのである。もちろん製造もメンテナンスも電子楽器としては非常に手間がかかるだろうが、鈴木楽器はあえてオリジナルの B-3 の音を再現するために、苦難の道を選んだと言えよう。
2018051506 New B-3 は5年後の2008年に、さらに改良され、New B-3 mk2 として登場した。この楽器のすごいところは、New B-3 にいろんな機能や豊富な音色を追加したというのではない。New B-3 よりさらに、オリジナルの1975年以前の B-3 に近づけたということである。ハモンドスズキにとって、新製品の開発というのは常にオリジナルのトーンホイールオルガンの音と操作性を、信頼性の高いデジタル回路で再現すると言うことなのだ。そこが他の電子楽器メーカとは全く違う、世界唯一のメーカである。
ハモンドスズキが発足してからすでに25年以上が経過しているが、この間に生産されたハモンドオルガンは、どれも非常に品質が高く、発売から10年以上経過しても、しっかりメンテナンスしてくれる。私も XB-2 を、直接鈴木楽器の本社に持ち込んで修理してもらったが、社長自らとても丁寧な対応していただき、実に楽器を愛している人だなあと感じた。これからは日本の伝統楽器として、ハモンドオルガンサウンドを引き継いでくれるだろう。

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